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デリマール生後10日火災で死亡した赤ちゃんが生きていた!母娘を6年間引き裂いた犯人やデリマール・ヴェラの現在は?
デリマール・ヴェラ誘拐事件の概要
事件発生
事件の発端は1997年12月15日、アメリカのフィラデルフィア郊外にあるルース一家で火災が発生したことに始まり、謎に包まれた事件へと発展します。
母親のルースと父親のペドロの間に生まれた女の子、デリマール・ヴェラは、この時まだ生まれて10日しか経っていませんでした。
2人の男の子に続いて生まれたデリマール・ヴェラは母親のルースにとっては待望の女の子でした。
この日、えくぼが可愛い赤ちゃんデリマールを見ようとルース一家には夫の母親や同じ日に女の子を産んだばかりのいとこのキャロリンが訪れていたといいます。
家族団らんを楽しんだ同じ日の19時頃、大きな爆発音が鳴り響き、デリマールが寝ている寝室がある2階から火の手が上がりました。
瞬く間に炎は燃え広がり、ルースはデリマールを助けようと駆け付けますが激しい炎に阻まれ成すすべがありませんでした。
デリマール 死亡
デリマールが寝ていたベビーベッドは跡形もなく燃え尽きていました。
「まだ中に赤ちゃんがいる!助けて」と泣き叫ぶルースを当時の地元テレビ局がとらえています。地元の新聞には「生まれて10日の赤ちゃんが火災で死亡」という悲劇の記事が掲載されました。
警察もこの状況から「死亡」と断定し、火災の原因は「ルースがつけた電気ヒーター」と発表。見つからなかったデリマールの遺体も燃え尽きてしまったのだと誰もが疑いませんでした。
悲劇の母親ルース
ルースはわずか10日でこの世を去ったデリマールの葬儀が行われる中、デリマールの死を受け入れることができずにいました。
「デリマールは生きている!誘拐された」そう声を上げましたが、世間は悲劇の母親の精神状態がおかしくなってしまったと誰も耳を傾けることなく、スペイン語しか話せないルースに取り合ってくれる人は誰もいませんでした。
しかし、異論を唱えるルースにはデリマールが誘拐されたと思う根拠があったのです。
それは、
「燃え盛る炎の中でかすかに見えたベビーベッドにデリマールがいなかったこと」
そして、
「閉めたはずの二階の部屋の窓が空いていたこと」
でしたが警察の判断を覆せるぐらいの十分な証拠とは成りえませんでした。
いつまでもデリマール諦めることができないルースと日々の生活が困窮していく中、夫のペドロの間にはやがて溝ができ始め、二人は別れてしまいました。
6年後・・・
2003年、誰も信じてくれないまま6年の月日が経ちました。ある日、ルースの元に別れた夫のペドロから一本の電話が入ったのです。
「お前と俺にそっくりの女の子を見た」
知人のパーティーに出ていたペドロは自分たちに似た女の子を見て、ルースに知らせたのです。
ルースはすぐにそのパーティーにかけつけ、アリーヤと名付けられた女の子の姿を目にし、大きな衝撃が走りました。笑うとできるえくぼが全く同じだったのです。「自分の娘に違いない」と確信しました。
アリーヤの母親もパーティーにいました。そして、その母親はなんとペドロのいとこで火災が発生した日にデリマールに会いにルース一家を訪れていたキャロリン・コレア(Carolyn Correa)だったのです。
ルースは自分の娘であると証明するため、アリーヤの髪にガムがついていると咄嗟の判断で髪の毛を抜きました。DNA鑑定をすれば証明できると考えたのです。
母の執念
警察にこの髪の毛を持っていけば、証明できる!そう信じて、ルースは警察に向かいますが、「精神的におかしくなってしまった母親」として扱われ、一旦解決した事件を警察は全く取り合ってくれませんでした。
ルースは自費でDNA鑑定をするしか方法はありませんでしたが、生活が困窮しているルースには成すすべもなく、途方にくれながら歩いている時に、町で選挙ポスターを目にしたそうです。
そのポスターの人物は選挙活動中の州議会議員、エンジェル・クルーズでした。同じヒスパニック系ということもあり、必死に懇願するルースに心を動かされ、検察へ掛け合いました。
事件の再捜査
議員からの問い合わせと言うことで、6年前の火災を再検証と見つからなかったデリマールの遺体について再捜査することになりました。
再捜査が進む中で、火災はわずか14分で鎮火し、乳児といえども骨まで燃え尽きることはありえないと改めて判断され、捜査の手はキャロリンへと向かいました。
キャロリンと娘のアリーヤのDNA型鑑定を行いますが、キャロリンはアリーヤの口の粘膜に漂白剤をスプレーし、捜査の妨害を謀りました。
しかし、これをアリーヤが警察に話したため、再度、鑑定が行われ、結果はキャロリンとアリーヤの間に親子関係はなく、アリーヤはルースの娘、デリマールであると正式に鑑定されました。
大きく狂ってしまったルース一家の人生ですが、6年間信じ続けた母親の執念が実った瞬間でした。ルースはこの鑑定結果を聞いた時、涙が止まりませんでした。
事件の真相
ペドロのいとこであるキャロリン・コレアはデリマールが生まれる前から「妊娠している」と世間に言いふらし、「同じ日に女の子を生んだ」とルースには語っていました。
ルース一家が暮らしていたフィラデルフィアから30㎞ほど離れたニュージャージー州に暮らし、「自宅で出産した」と出生証明書を偽り作成、女の子をアリーヤと名付け何食わぬ顔で暮らしていたのです。
火災が発生した日、二階のトイレに行くふりをしてデリマールが寝ている寝室のヒーターの前にスプレー缶を置き、高熱によって、破裂・引火させ、ベビーベッドで寝ていたデリマールを、キャロリンは何らかの方法で連れ去ったのです。
以降、キャロリンはアリーヤの良きママを演じ続けてきました。
しかし、キャロリンは何故こんなことをしたのか・・・後の捜査で、妊娠していると吹聴したのは「当時の交際相手をつなぎとめるためのうそだった」と言われています。
犯人の現在は?
キャロリンは法廷で公に父親であるペドロが「赤ん坊をくれた」と誘拐の手助けしたことを非難しましたが、その様な事実は認められませんでした。
キャロリンの弁護士は精神病が原因で自分が妊娠したと思い込み、赤ちゃんも自分の子供であると信じてしまったと弁護しましたが、裁判官は意図的であり心神喪失は認めず、キャロリンは9年から30年の刑を宣告されました。
女の子は2004年の3月、7歳となったデリマールは本当の両親と再会を果たしました。
誘拐されたデリマールの現在は?
2019年7月現在、21歳となるデリマールは元気に暮らしています。
その様子は2019年7月13日(土)よる9時からフジテレビ系列で放送の「目撃!超逆転スクープ4 ~娘を救え!命をかけた母の闘い 愛と涙の生還SP~」で紹介されるので必見です。
そして、この事件は、2008年に「Little Girl Lost」というタイトルで映画化もされています。
その映画がこちら。
デリマール・ヴェラ誘拐事件 映画化
Little Girl Lost: The Delimar Vera Story
映画
初公開: 2008年8月17日
監督: ポール・A・コーフマン
原作者: クリストファー・カナーン
音楽: ジョゼフ・ジュリアン・ゴンザレス
衣装デザイン: Carmen Bonzelius
デリマール・ヴェラ誘拐事件 Youtube動画